コンサル納品物としての理念は、なぜ歪むのか

商品として売られる立派な額装の理念が、土台から浮いて剥離している抽象イメージ|日本家業承継協会

前の記事で、創業者が理念を言葉にする怖さを書きました。その逆側に、もうひとつ厄介なものがあります。商品として売られる理念です。

30〜50万円の「納品物」

理念は、コンサルティングの納品物として、おおむね30〜50万円で売買されています。「御社の理念を一緒に作ります」というあれです。

問題は、売り手側に多いのが、経営をしたことも、人を育てたこともない人間だということです。コンサルタントという肩書きのために理念を売りたがる。すると、何が起きるか。

理念という立派な言葉だけが先にあって、その言葉を支える実体——経営の修羅場も、人を抱えた葛藤も——が伴っていない。言葉と現実が、薄い膜一枚でペコッと離れている。だから、額に飾った瞬間から誰も本気にしません。「うちにも理念、ありますよ」で終わってしまう。

念のため補足すると、理念という言葉を着せたおかげで、ナンバー2・ナンバー3が頑張ってくれた会社は実在します。ただしその場合、会社の利益は「ナンバー2・ナンバー3の器のサイズ」に収まります。それ以上には伸びにくい。

本来、理念はこう作る

では本来どう作るべきか。私の考えはこうです。

みんなで、半年でも一年でもかけて作る。 お客様も、社員も巻き込んで、30年先を見据えながら言葉にしていく。

そして、作って終わりではありません。運用していくと、現場で使う言葉と、額縁の言葉の間に、微妙なズレが必ず生まれます。そのズレを、どんどん修正し続ける。これが本質的な理念のあり方です。

修正を重ねた末に「これはもうブレない」となった瞬間——その理念は、とてつもなく強いものになります。買ってきた理念には、絶対に出せない強度です。

外注が悪いのではありません。ただ、理念は納品されて完成するものではなく、運用しながら育てるものだ、ということです。

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