【開催レポート】後継者が育つ「親の教え方」と「子の学び方」

~家業承継セミナー(2025年3月12日開催)~

はじめに

2025年3月12日、当協会主催の「家業承継セミナー」を開催いたしました。本レポートでは、後継者応援団長である竹口 晋平が語った「親の教え方」と「子の学び」のポイントを中心に、当日の内容を振り返ります。家業承継に取り組む方や、今後取り組まれる方のご参考になれば幸いです。

目次

1. 家業承継は数字だけでは語れない

家業承継というと、株式や相続税などの“数字”に注目しがちです。しかし、竹口は冒頭から「数字だけが継ぐべきものではない」と強調しました。

  • 企業文化や風土
  • 社員との信頼関係
  • これまで受け継がれてきた創業者の思い

こうした“見えにくい資産”をどのように整理し、次の世代へ伝えるかが、家業承継を成功させる大きなカギになるとのことです。

レポートのポイント

  • 相続税や株式の問題は、家業承継の一部にすぎない
  • 感情・人間関係・思いを含めてまるごと“引き継ぐ”ことが重要

2. 「お手並み拝見」の視線に打ち勝つために

後半では、後継者が会社に入ったときの現実について言及がありました。周囲は後継者を「お手並み拝見」と見つめるため、以下のポイントを踏まえた“学びのデザイン”が必要になるということです。

  1. 現場から学ぶ
    • 部署や店舗、工場の実態を知るため、自ら足を運び経験する
  2. 企業の“聖域”に向き合う
    • 代々放置されてきたタブーや、誰も踏み込まなかった問題点を整理する
  3. 社員の声を聞き出す
    • 不満や要望、将来の展望など、現場の気持ちを深く把握する

レポートのポイント

  • 後継者が働く姿勢を社員や周囲は厳しく見ている
  • 現場・数字・社員との対話で着実に信頼を積み重ねる

3. 親子の衝突から「共通目的」を探る

家業承継では、親子のぶつかり合いがよく起こります。やり方や価値観が噛み合わないまま平行線をたどるケースも珍しくありません。

しかし、竹口は「大きな共通目的を持つ」ことで、この衝突は乗り越えられると話しました。例えば、

  • 社員や取引先が安心して働ける会社づくり
  • 地域への貢献や後世への技術継承
  • 創業者からの想いを未来につなぐ

といったゴールを親子で共有すれば、意見の相違を「正義同士の対立」ではなく「目的達成のための議論」にシフトできるというのです。

レポートのポイント

  • 対立の原因は意外にも「やり方」や「価値観」の違い
  • 「最終的にどんな会社にしたいか」を親子でじっくり話し合う

4. 感情を整えるための“外部の力”

セミナー終盤、竹口は自らを「土足で家に上がり込むタイプ」と表現し、外部の視点が感情面のトラブルを整理する際に大いに役立つと語りました。

  • 第三者や専門家、信頼できる相談先を早めに見つける
  • 親族・社員だけでは解決できない問題も、“外部の力”を借りることで新しいアプローチが生まれる

後継者が孤立せず、気軽に相談できるネットワークやサポート体制を築くことが、家業承継成功の重要なポイントになるようです。

レポートのポイント

  • 親族間や社内で解決しづらいときには、早めに専門家を活用
  • 後継者コミュニティなど、横のつながりを生かす

5. まとめ:次世代へ引き継ぐための“教え”と“学び”

  • 数字に表れない“見えない資産”をどう整理し、伝えるか
  • お手並み拝見の視線を意識した学習・経験設計
  • 親子で共通目的を持つ大切さ
  • 必要に応じた外部の力の活用

これらが、竹口からの大きなメッセージでした。家業承継は単なる経営権の移転だけでなく、人間関係や組織カルチャーの再設計でもあります。もし悩みや課題を感じているようでしたら、まずはお気軽に当協会へご連絡ください。

特別講演会のご案内

三代続く税理士家業のリアルストーリー

~“家族の対立”を乗り越え、次世代へバトンをつなぐ秘訣~

日時:2025年4月18日(金) 19:00~
講師:大沢 豪(一般社団法人日本家業承継協会 理事/税理士法人大沢会計 代表)

  • 祖父の代に創業された税理士事務所を三代にわたって発展させたプロセスを余すところなく解説
  • 税理士としての専門知識とMBAで培った経営視点を融合し、家業特有の課題を乗り越えた具体例を多数ご紹介

ファミリービジネスならではの“家族の対立”をいかに乗り越え、組織を前進させるか。そのリアルな物語から、家業承継のヒントを存分に学べる絶好の機会です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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